近年、天候不順や生産量の変動によって野菜価格が乱高下する傾向が続いています。中でもキャベツは需要が高く、主力の野菜として飲食店で幅広く利用されるため、多くの飲食店に影響がでています。
キャベツの市場価格は従来1玉100~200円ほどでしたが、現在は400円前後と倍の値段となっています。一時は1玉中1,000円を超える価格となることもありました。
僕も、これから餃子店をオープンしようと準備を進めていますが、試作段階から思った以上にキャベツのコストがかさむことを痛感しています。キャベツは餃子の具材のメインとなる1つです。まだ試作段階ではありますが、試作のたびにキャベツが必要になります。
また、生野菜サラダが大好きな僕は、低価格でボリュームたっぷり食べられるキャベツをとても重宝していたのですが、ここ最近はキャベツに手が伸びづらくなっています。
今回は、そんなキャベツの高騰について、まとめました。
キャベツ高騰の原因
現在、なぜキャベツがここまで高騰しているのか、原因を調べました。
すると、複数の原因が重なっている事が分かりました。
異常気象による生産量の低下
近年、気候変動に伴う異常気象(猛暑、少雨、集中豪雨など)が頻発しており、キャベツの生育環境が大きく乱れています。これにより、露地栽培が主流のキャベツは収穫量が大幅に減少し、市場への供給が不安定になっています。特に、記録的な高温や乾燥が若苗の枯死や成長不良を招いていることが指摘されています。
生産コストの上昇
キャベツの栽培には、化学肥料や農薬などの費用や、設備環境の整備費が必要ですが、これらのコストが年々上昇し、キャベツの市場価格に影響される形となっています。
農家の高齢化と労働力不足
日本の農業では、農家の高齢化が深刻化しており、若い後継者が不足しています。葉物野菜は収穫時の衝撃に弱いため機械の導入が難しく、手作業に依存する部分が多くなっています。その結果、コスト負担が重くなることで価格高騰に拍車がかかっています。
輸送・流通コストの上昇
生産地から市場への輸送にかかる燃料費や物流コストの増加も、キャベツの最終的な小売価格に影響しています。生鮮食品であるため、迅速な輸送が求められるキャベツは、これらのコスト上昇の影響を受けやすいです。
以上のように、異常気象による生産量の低下、生産資材や輸送費の高騰、そして農家の高齢化などによる労働力不足がキャベツの価格高騰の主要な原因として挙げられます。これらの要因が重なり合うことで、消費者にとっては手が出しにくい価格となってしまっているのです。
これらの原因は、キャベツだけの問題ではなく、他の野菜や食材全体にも同様の影響が及んでいます。複数の要因が重なり、レタス、白菜、大根、にんじん、トマトなど幅広い農作物の価格が上昇しています。また、家庭の食卓で欠かせないお米についても、近年の生産コストの増大や供給不安定の影響を受け、価格が高騰する傾向が見られます。
キャベツの高騰による問題
2024年12月、茨城県で5日間で3,000個以上のキャベツが盗まれる事件が発生しました。
また、2025年2月5日には、愛知県田原市の畑で約800玉のキャベツが盗まれている事件が発生しました。
これらは、キャベツの市場価格が高騰したことにより、転売目的で窃盗されたものと見られています。
餃子店への影響
キャベツは餃子のジューシーさや甘みを引き出す重要な食材です。
餃子店では、キャベツを大量に使用するため、価格の上昇は大きな影響があります。
現在はまだ出店準備期間なので、影響はメニュー開発時の試作のみと限定的ですが、今後はメニューの価格決定など大きな課題となりそうです。
餃子は一般的にリーズナブルなメニューとして親しまれているため、急激な原材料費の上昇をそのまま販売価格へ反映させることは難しい状況です。
キャベツの代替野菜
白菜
キャベツ以外の野菜で餃子を作る場合、白菜が用いられることが多いです。
白菜を使った餃子には、以下のような特徴があります。
柔らかくジューシーな具材
白菜はキャベツに比べて柔らかく水分が多いですが、事前に塩もみして余分な水分をしっかり抜くことで、餃子のタネ全体にしっとりとしたジューシーさが加わります。また、白菜の甘みが豚肉などの旨味を引き立て、まろやかな味わいに仕上がります。
繊細でマイルドな風味
白菜の風味は比較的マイルドなため、他の香味野菜(にらや玉ねぎ、しょうがなど)と相性がよく、具全体のバランスを取りやすいです。重たくなりすぎず、素材それぞれの味が生きるため、さっぱりとした仕上がりになります。
キャベツを多用する他の飲食業種
キャベツ高騰の影響を受けている飲食店は、餃子店ではありません。
キャベツを多く使用する他の飲食業種について、まとめました。
お好み焼き店
お好み焼きの具材としてキャベツは欠かせません。
ボリューム感を出すために大量のキャベツを使うので、高騰の影響は避けられません。
ラーメン店
タンメンやちゃんぽん、二郎系ラーメンなど、キャベツをもやしなどと一緒に沢山使うメニューでは、原価上昇の影響を強く受けます。
一部ラーメン店では、キャベツともやしの比率を変えることで、原価調整をしているようです。
とんかつ店
とんかつや定食の付け合わせとして、山盛りの千切りキャベツを提供する店舗が多く、高騰の影響は直接的です。
現在は、お米も高騰が続いていおり、とんかつ店では、ご飯、みそ汁、キャベツのお代わり自由のお店も多く、大きな影響が出ています。
まとめ
キャベツの高騰は餃子店に限らず、飲食店全体にとって避けては通れない課題です。
3月以降に春キャベツが市場に出回ると、一時的に価格が落ち着くという意見もあります。
しかし、今回のキャベツの高騰は、異常気象などの影響だけではなく「これまでが安すぎだった」という意見もあり、従来のように1玉100~200円で買えるまでには戻らない可能性もあります。
僕は現在、餃子をメインとする飲食店の出店準備をしています。
もし、キャベツや他の食材が高騰しても「魅力的な一皿」を提供できるお店を目指したいと思います。
価格だけではなく「おいしさ」や「楽しさ」など、日々の研究と工夫を重ねていきます。
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